はじめに
思考実験とは科学の理論や法則にのっとり仮定した条件から理論的に導かれるであろう現象を思考のみによって解き明かす試みのことです。
科学と技術の発展は思考実験と現物実験の積み重ねと言っても良いでしょう。実験装置を使わずに頭の中であれこれと考えをめぐらすことができる思考実験とそれを実証する現物実験によって多くの新しい科学の理論が体系づけられてきました。この先も思考実験がきっかけとなって新たな理論が生み出されるに違いありません。
本サイトは科学の知識の入門書や科学史の読み物のようでありがながら、思考実験の面白さを味わうことができるような内容となるように心がけて作成しています。取り上げるテーマも科学の読み物や教科書で確認ができるものとします。
本サイトが皆さんの思考実験の世界へ導く扉の役割を果たし、また各章で取り上げたテーマに興味を抱かれたなら幸いです。
第1章 思考実験入門
- 1-01. バベルの図書館の所蔵本は何冊あるのか
- 1-02. 無限の猿定理とは
- 1-03. コイン投げの確率
- 1-04. サイコロの目が出る確率
- 1-05. スロットマシンがそろう確率
- コラム 暗証番号とパスワードのセキュリティ
- 1-06. 任意の文字列が打ち出される確率
- 1-07. 無限の猿定理は実験で確かめることはできない
- 1-08. 思考実験「重いものほど速く落下するのか」
- 1-09. 思考実験「重力から万有引力へ」
- 1-10. 思考実験「光速度不変の原理」
- 1-11. サイコロの出目は予測できるか
- 1-12. 世の中の出来事はすべて筋書き通りか
第2章 古代ギリシアの自然哲学
- 2-01. 自然哲学の夜明け
- 2-02. 万物の根源は何か
- 2-03. テセウスの船のパラドックス
- 2-04. 世界は絶えず変化している
- 2-05. 世界を存在で捉える
- 2-06. 万物の根源は数である
- 2-07. ピタゴラス学派とエレア学派の思想の違い
- 2-08. 存在しないことを証明する背理法
- 2-09. 数の比は完璧ではなかった
- 2-10. √2は直線上に目盛りをつけられるか
- コラム 「定規」と「物差し」の違い
- 2-11. 円周率 π は直線上に目盛りをつけられるか
- 2-12. ゼノンのパラドックス
- 2-13. 二分割|ゼノンのパラドックス
- 2-14. 二分割のトリック|ゼノンのパラドックス
- 2-15. 二分割のもひとつの解釈|ゼノンのパラドックス
- 2-16. アキレスと亀|ゼノンのパラドックス
- 2-17. アキレスと亀のトリック|ゼノンのパラドックス
- 2-18. 矢|ゼノンのパラドックス
- 2-19. 矢のトリック|ゼノンのパラドックス
- 2-20. 競技場|ゼノンのパラドックス
- 2-21. 競技場のトリック|ゼノンのパラドックス
- 2-22. ゼノンが否定しようとしたもの|ゼノンのパラドックス
- 2-23. ゼノンを論破できるか|ゼノンのパラドックス
第3章 光の正体を探る 粒子説vs波動説
- 3-01. 光速は無限大と考えられていた
- 3-02. 光速は無限大に疑問をもったガリレオ
- 3-03. 大航海時代が光速の測定を必要とした
- 3-04. 光速が有限であることを突き止めたレーマー
- 3-05. 光行差から光速を求めたブラッドリー
- コラム 海洋クロノメーターの発明
- 3-06. 光の正体の探究のはじまり
- 3-07. 虹の探究が光の正体の解明のきっかけに
- 3-08. 光と色の関係を突き止めたニュートン
- 3-09. ニュートンの光と色の論文は否定された
- 3-10. 物体の影に回り込む光
- 3-11. 薄い膜で色づく光
- 3-12. ものが二重に見える石が発見される
- 3-13. ニュートン著作「プリンキピア」を出版
- 3-14. ホイヘンス著書「光に関する論考」を発表
- 3-15. ニュートン著作「Opticks(光学)」を出版
- 3-16. ニュートンの粒子説が主流に
- コラム ニュートンの粒子説による光の直進と反射・屈折を考えてみる
- 3-17. 光の回折と干渉を実証したトマス・ヤング
- 3-18. ヤングの実験は光の波動説を決定づけられなかった
- 3-19. 光の粒子説の根拠になった偏光
- 3-20. パリ科学アカデミーが光の干渉と回折の懸賞論文を公募
- 3-21. フレネルとアラゴの共同研究