.Header .description 1-03. コイン投げの確率|思考実験の科学史

1-03. コイン投げの確率

コインを1回投げる

 確率とはある条件を満たす現象が起こる割合のことです。起こりうるすべての現象の数を  N とし、ある条件を満たす現象の数を n とするとその確率は n/N となります。

 ここでコイン投げについて考えてみましょう。1枚のコインを1回だけ放り投げたときに表もしくは裏が出る確率を求めてみます。

コイン投げで表と裏が出る確率
コイン投げで表と裏が出る確率

 1回のコイン投げの結果として起こりうるすべての現象の数 N はコインの表か裏が出ることですから2通りです。表が出る現象の数 n は1通りですから表が出る確率は n/N=1/2 となります。同様に裏が出る確率も n/N=1/2 となります。この場合、重要なことは表と裏の出やすさが同じでなければなりません。これを「表と裏の出る事象は同様に確からしい」と言います。この前提がなければ n=1/2 にはなりません。

コインを複数回投げる

 次にコインを2回投げたときに表が2回でる確率を求めてみましょう。結果として起こりうるすべての現象の数 N はコインの表か裏が出ることが2回分ですから[表・表][表・裏][裏・表][裏・裏]の4通りになります。

1回目 2回目

 2回続けて表が出る現象の数 n は1通りですから[表・表]の確率は n/N=1/4 となります。同様に他の事象が出る確率も n/N=1/4 となります。この場合、コインを1回投げる操作を2回繰り返すので、それぞれの確率 1/2 を掛け合わせて 1/4 と求めることができます。

 コインを3回投げたときに出る事象は[表・表・表][表・表・裏][表・裏・表][表・裏・裏][裏・表・表][裏・表・裏][裏・裏・表][裏・裏・裏]の8通りになります。従って3回続けて表が出る現象の数 n は1通りですから[表・表・表]の確率は1/8になります。この場合も1回ごとの確率 1/2 を掛け合わせて 1/8 と求めることができます。

 一般にコインを a 回投げてすべて表が出る確率は 1/2a  となります。実際には表が3回に限らず起きる事象の確率はすべて 1/2a  です。

区別できない2枚のコインを同時に投げたとき

 さて区別のできない2枚のコインを同時に投げたときに[表・表]が出る確率はどれぐらいでしょうか。結果として起こりうる事象 N は2回続けて投げたときと同じく[表・表][表・裏][裏・表][裏・裏]の4通りになるでしょうか。それとも2枚のコインは区別できないのですから[表・裏]と「裏・表」は同じと考えて事象 N は3通りとなるのでしょうか。

 ここで簡単な思考実験を行いましょう。いま、あたなは2人でコイン投げをするとします。コイン投げをしているうちにあなたは2枚のコインを見分けられることに気が付きました。コインを見分けられるあなたにとっては起こりうる事象は[表・表][表・裏][裏・表][裏・裏]で N=4 です。一方、コインを見分けることができない相手にとっては[表・裏][裏・表]は同じですから N=3 となるのでしょうか。

 あなたと相手は一緒に同じコイン投げをしています。にもかかわらずあなたと相手で起こりうる事象の数が変わるのは矛盾していないでしょうか。2枚のコインは区別できないのは見た目の問題で物理的に違うものであることは間違いありません。ですから[表・裏][裏・表]を同一視してはいけないのです。つまり、あなたにとっても相手にとっても起こりうる事象 N=4 となるのです。そしてそれぞれの事象が起こる確率は 1/4 となります。

 それでは区別のできない2枚のコインを投げて表と裏が出る確率はどうなるでしょうか。 [表・裏][裏・表]が出る確率はそれぞれ 1/4 ですが、ここに2枚を区別しなくても良いという条件をつけると[表・裏][裏・表]は同じと見なすことができます。これは独立した2つの事象を「当たり」にしていることになります。「当たり」の n は 2 通りとなり、「当たり」の確率は n/N=2/4=1/2 になります。

 次はサイコロの目が出る確率を考えることにしましょう。


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