.Header .description 2-15. 二分割のもひとつの解釈|ゼノンのパラドックス|思考実験の科学史

2-15. 二分割のもひとつの解釈|ゼノンのパラドックス

無限後退型解釈と無限前進型解釈

 ここまで「二分割」を中間地点が新しい目的地になると解釈して説明を進めました。この解釈を無限後退型解釈といいます。これに対して「二分割」にはもうひとつの解釈があります。次の図のように、中間地点 C1 まで移動するとC1 と目的地点 B の間に新たな中間地点 C2 が発生、 C2まで移動するとC2と B の間に再び新たな中間地点 C3が発生というように、移動した先に新たな中間地点が無限に現れるため目的地点に到達できないという解釈です。このように中間地点が出発地点となる解釈を無限前進型解釈といいます。

二分割の無限前進型解釈
二分割の無限前進型解釈

 さて無限前進型の解釈ではアキレスは目的地に到達できないことになりますが、そもそもアキレスは動き出すことは可能なのでしょうか。通過点 C1を目的地点と考えるとAC1間が AB 間と同じように分割されることになります。出発地点 A からごくわずかに離れた通過点との間でも同じ分割が生じますから結果的にはアキレスは目的地点に到達できないどころか動き出すことすらできないでしょう。しかしながら、無限前進型も空間の分割に応じて時間を分割すると問題を解決することができます。


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