無限に1に近づくと1になる
ある値が1に無限に近づくということは、その値が 0.99999999…という循環小数に近づくということです。実は循環小数の 0.99999999… は限りなく1に近い数であり 1ではないという説明は正しくありません。数学的には 1に等しいのです。
たとえば循環小数 0.33333333 …を3倍すると 0.99999999 …になりますが 0.33333333 …は分数では 1/3 です。1/3 を3倍した値は1となります。 また次のように 0.99999999…が1であることを代数的に証明することも可能です。
x = 0.999999999… とすると 10x - x = 9.99999999…- 0.999999999… より 9x = 9 ゆえに x = 1 |
次の図は一辺の長さが1の正方形です。この正方形の面積を1/2、1/4、1/8 とどんどん半分に分割する作業を繰り返していきます。
この正方形の面積を無限に半分に分割していく操作は正方形の面積をSとすると次の式で表すことができます。
この式は次のように表すことができます。
つまり前節で紹介した式と同じです。
ですからこの式の総和は 1 になるのです。
古代ギリシア時代には無限の概念がなかった
古代ギリシア時代の数学では無限という概念を取り扱うことができませんでした。無限を扱うことができる級数・極限・微分・ 積分が発展したのは 17 世紀以降です。
このことからゼノンが「無限の足し算の答えは有限な値にならない」と誤認していたため、ゼノンのパラドックスが導き出されたという説もあります。
さてゼノンのパラドックスを論破できたとしても、現在に生きる私たちが時間や空間をより深く理解するためには新たな知識に基づいた思考実験が必要となるでしょう。
たとえばアインシュタインが提唱した相対性理論では時間や空間は絶対的なものではないことがわかりました。また不確定性原理や量子論によれば極微小な世界では物質は量子的な振る舞いをし物質の運動と位置を同時に確定することができなくなります。これらについては本サイトの後半で考えていきましょう。
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