.Header .description 2-22. ゼノンが否定しようとしたもの|ゼノンのパラドックス|思考実験の科学史

2-22. ゼノンが否定しようとしたもの|ゼノンのパラドックス

ゼノンは多を否定しようとした

 ゼノンの4つのパラドックスは、すべて運動を否定する結論になっています。あえて物体の運動を真の命題とし、空間や時間を無限に分割することによって生じる矛盾を導き出すことによって運動を否定しています。ゼノンは運動を否定することによって、多を否定し多元論者の反論や批判からパルメニデスを擁護したのです。

 ゼノンのパラドックスを説明するとき次の式がよく使われます。

 この総和は直感的には限りなく1に近づき1にはなることはありません。この直感がゼノンがパラドックスに仕込んだ仕掛けです。

 ゼノンは二分割では限りなく目的地に近づくことはできるが目的地には到達できない、そもそも動き出すこともできないという結論を導き出しています。アキレスと亀では、アキレスは亀に限りなく近づくことはできるが、亀に追いつくことはできないという結論を導き出しています。ゼノンは限りなく近づいたところまでを議論の対象としていたのです。

ゼノンの主張を論破するには

 ところでゼノンのパラドックスは上式を示しただけでは論破したことにはならないという指摘があります。

 ゼノンは「空間と時間を無限に分割して物体の運動を考えると物体の運動は無限の行程を必要とする。すると物体は動くことができないという矛盾が生じるため物体の運動はありえない」と指摘しているだけだからです。

 ですから上式の総和が限りなく1に近づくということを論じただけではゼノンを論破したことにはならないというわけです。上式の限りなく 1 に近ずく総和が 1 になることを証明できればゼノンを論破できそうです。限りなく 1 に近い数値は 1 にはならないのでしょうか。


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