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3-14. ホイヘンス著書「光に関する論考」を発表

ホイヘンスは光を波動説を唱えた

 ホイヘンスは1690年に長年に渡る光の研究成果をまとめた「光についての論考(Traité de la lumière)」を出版し改めて光の波動説を唱えました。

ホイヘンス著作「光に関する論考」
ホイヘンス著作「光に関する論考」

 ホイヘンスは光が粒子ならば光はすれ違うことができないと指摘しています。たとえば図のように、こちらからあちらが見え、あちらからこちらが 見えるのは、光がすれ違うことができるからです。光が粒子ならあちらから出た光とこちらからでた光が途中でぶつかってしまうのでお互いが見えなくなるはずです。

光が粒子ならアイコンタクトできない
光が粒子ならアイコンタクトできない

 また、波には独立性があり一方の波が多方の波の進行を妨げることはありません。たとえば図のように2つの波がぶつかって重なり合った後に離れると、それぞれの波はもとの形で進んでいきます。波動説では光がすれ違うことを説明できるのです。

波の独立性
波の独立性

ホイヘンスは音と光を比較した

 ホイヘンスは光の伝播について「光は我々と発光体の間に存在する物質の動きで成立する」とし、光はボールや矢が飛ぶような物質の移動によるものではないと主張しています。

 ホイヘンスは光の伝播は音が空気中を伝わる仕組みと同様であると考えました。音源から出た音は空気の運動(振動)として伝わり四方八方に広がります。このとき音は音源を中心として球面状に広がっていきます。音源から離れるにつれてその球面は次第に大きくなり、遠方いる私たちの耳に当たると音が聞こえます。

 ホイヘンスは光が発光体から私たちの目に届くのも発光体と目の間にある物質に与えられた何らかの連続的な運動の伝わりによるものと考えました。太陽やろうそくなどの発光体のあらゆる部分から出た光は球面状に広がりその部分が球面の中心になると結論づけました。

ろうそくの炎中の異なる部分から球面状に広がる光
ろうそくの炎中の異なる部分から球面状に広がる光

ホイヘンスの原理

 ホイヘンスは光の直進・反射・屈折などの振る舞いも波の伝播で説明できることを示しました。たとえば次の図は波が直進する様子を示したものです。波が空間を伝わるとき、ある瞬間に同じ振動をしている点を結ぶと1つの面ができます。この面のことを波面といいます。また波面が球面のものを球面波、平面のものを平面波といいます。波源から出た波は一定の速度で四方八方に広がるので球面波となりますが、その球面波が波源より十分に離れると球面の半径が大きくなるため球面の一部を平面波と見なすことができるようになります。

ホイヘンスの原理による光の直進の説明
ホイヘンスの原理による光の直進の説明

 ホイヘンスはこのような波の伝わり方を示すことによって、反射や屈折などの光の振る舞いについて説明したのです。

光の波の反射と屈折
光の波の反射と屈折

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