.Header .description 2-12. ゼノンのパラドックス|思考実験の科学史

2-12. ゼノンのパラドックス

異端視されていたパルメニデスの主張

 ゼノンのパラドックスはエレア派の哲学者ゼノンが師のパルメニデスの主張を擁護するために考え出したものです。

 パルメニデスの思想は「あるものはあり、あらぬものはあらぬ」「真に存在するものは不生不滅であり、分割不可能で唯一であり、そして変化もしなければ運動もしない」でした。しかし、あらゆるものを唯一とすると自然界の現象が説明できなくなります。一方、これに反して、あらゆるものが多からなることを認めると変化・運動・生成・消滅を説明することができるようになります。そのため、多くの哲学者は、ものが唯一であることを否定して多の存在を主張するようになりました。あらゆるものが多から成ると考えた哲学者たちのことを多元論者といいます。当時は多元論者の考えが主流であり、パラメニデスの思想は滑稽で異端なものでした。

ゼノンのパラドックスとは

 ゼノンのパラドックスとは、物体の運動を真とし多の存在を認めることによって生じる矛盾を示すことによって物体の運動を否定するものです。

 ゼノンのパラドックスはゼノン本人が書いたものは残っていませんが、パルメニデスやゼノンより 100 年後に活躍したアリストテレスが自著の中で紹介しています。

 アリストテレスは質疑応答によって知識を探求する弁証術はゼノンによって確立されたと述べています。またパルメニデスを弁論術の確立者と述べています。

 ゼノンのパラドックスにはいろいろありますが、ここでは運動のパラドックスについて取りあげます。ゼノンが示した「二分割」「アキレスと亀」「矢」「競技場」のパラドックについて、ひとつずつ考えていきましょう。

アキレスと亀
アキレスと亀

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