.Header .description 3-12. ものが二重に見える石が発見される|思考実験の科学史

3-12. ものが二重に見える石が発見される

複屈折する方解石

 1669 年、デンマークのエレスムス・バルトリンは論文「複屈折する氷州石の実験」で氷州石の結晶を通して物体を見ると物体の像が二重にみえること、さらに結晶を回転すると一方の像は結晶と一緒に動くが、もう一方の像は動かないという現象を報告しました。

 氷州石というのはアイルランドで産出される良質の無色透明の方解石と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶です。方解石を通して文字を見ると写真のように二重に見えます。この現象は方解石が方向によって異なる屈折率をもつために生じます。このような現象を複屈折といいます。

方解石を通して見るとものが二重に見える
方解石を通して見るとものが二重に見える

ニュートンの複屈折の説明

 光が波と考えていたホイヘンスは複屈折は光の波が速さの異なる2つの成分に分かれることによって生じると考えましたが、その原理を十分に説明するまでには至りませんでした。

 ニュートンはこの現象も光は粒子とする立場で説明しました。ニュートンは光の粒子は球体ではなく楕円体をしているため、光の粒子が結晶を通るときの向きの違いによって複屈折が生じると説明しています。

 つまりニュートンの説明によれば、複屈折は光の粒子の媒質における透過と反射の発作、ならびに楕円体の光の粒子が媒質を通るときの向の違いによって生じるということになります。ニュートンはこのように光の現象を光の粒子のふるまいとして説明しました。これがニュートンが「光の粒子説」を唱えたと言われる所以です。


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