.Header .description 2-14. 二分割のトリック|ゼノンのパラドックス|思考実験の科学史

2-14. 二分割のトリック|ゼノンのパラドックス

二分割の問題点

 二分割ではアキレスが出発地点 A から目的地点 B までに移動するとき、中間地点が次々と生じて無限に分割されるため物体は目的地点に到達できないとしています。

 しかし良く考えて見ると物体の運動を考えるときに空間を分割するのであれば、移動に要する時間も分割して考えなければなりません。空間を2つに分割したのであれば時間も2つに分割する必要があるのです。

二分割 空間と時間を分割
二分割 空間と時間を分割

 ですから空間を無限に分割するのであれば、時間も分割された空間に対応するように無限に分割しなければなりません。

ゼノンのトリック

 ゼノンは空間は無限に分割しているのに時間の分割には言及していません。ですから、「無限に存在する地点を通過するには無限の時間がかかる」のは当然の結果です。

 二分割は通過点である中間点を目的地にすり替えて次々と新たな中間点を発生させているところに仕掛けがあります。この仕掛けによって AB 間の分割が無限回数起こりますが、それによって生じる時間の分割を無視しているのです。

分割した時間に物体が進む距離を考える

 次の図のように時間を空間と同じように分割し分割した時間に物体が進む距離の総和を求めると AB 間の距離に一致します。つまり、無限に分割したものをすべて加えると有限の答えが得られるのです。

二分割 分割した時間に物体が進む距離
二分割 分割した時間に物体が進む距離

時間区間移動距離
t~ t1L~ L11/8
t~ t2L~ L21/8
t~ t3L~ L31/4
t~ t4L~ L41/2
合計1
分割した時間に物体が進む距離の総和を求める


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